1 通釈

たち別れいなばの山の峰に生ふる まつとしきかば今帰り来む

→今あなたと別れて因幡の国に行ったとしても、稲葉山にはえる松ではないが、あなたが待っていると聞いたならすぐにでも帰ってくるからね

2 在原兄弟 兄

作者の中納言行平(ちゅうなごんゆきひら)は在原行平(ありわらのゆきひら)といい、818年生まれで893年に75歳で亡くなりました。

父が平城天皇(へいぜいてんのう)の息子で母が桓武天皇の娘、弟に在原業平(ありわらのなりひら)を持つ、天皇の親族です。

在原の姓をもらってからは天皇の臣下に下って、仕事熱心に持ち前のがんばりを発揮して中納言に上りました。

中納言という役職は大納言とほぼ同一と言われているので、現代でいうと、大臣クラスということになります。

そんな行平ですが、38歳の時に因幡に赴任することになります。

因幡は島根県の東部にあたります。

都からはだいぶ距離があります。車などない時代ですから、そうとう覚悟がいったでしょうね。

愛する家族を残してひとり旅立って行く、その場面でこのうたは詠まれました。

あなたを残して遠い因幡の国へ行かなくてはならない。必ず戻ってくるから。わたしを待っていてほしい。心の中では戻ってこれないかもしれない、不安でいっぱいだったことでしょう。

百人一首では、このうただけ離別、別れのうたに分類されています。

3 二字決まり たち/まつ

松の木がたくさん生えているイメージで。

4 覚え方

まつとしき たち

→マットしき たち