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1番~5番

奥山に/声聞く 猿丸太夫

1 通釈

奥山にもみじ踏み分け鳴く鹿の 声聞く時ぞ秋は悲しき

→人里はなれた深い山に、あたり一面散り敷いたもみじを踏み分けて鳴く鹿の声を聞く時 その時こそ秋は悲しい季節だと感じられます

2 まさに謎の歌人

作者の猿丸太夫(さるまるだゆう)は生没年不詳で、そのうえ存在していたかも不明という謎の人物です。男性であることくらいが知られている情報です。

そんな彼は三十六歌仙のひとりとして数えられています。

この歌のもみぢは、赤いかえでのもみじではなく、中秋のころの黄色い萩(はぎ)の葉っぱであるとされています。

萩は古来から日本人のこころに根付く植物で、万葉集では一番多く詠まれています。

必ずと言っていいほど、雄鹿とのペアになっています。

雄鹿は、生後1、2年で群れから独立して雄だけの群れで行動するようになります。秋になると、雌鹿を求めて雄鹿どうしで争い、強い鹿だけが繁殖活動できるのです。その時に雌鹿を呼ぶ声が、人の注意をひくような声なのです。

そういった情景から、猿丸太夫は秋のもの悲しさと、人恋しさを歌にたくしたのでしょう。

黄色い林の中を、一頭の雄鹿が雌鹿をさがして鳴いている。まるで自分のように。

3 2字決まり おく/こえ

「お」で始まるうたで「おく」はこのうただけです。

4 覚え方

こえは おくやま

田子の浦/富士 山部赤人

1 通釈

田子の浦にうち出でてみれば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ

→田子の浦に出て(まわりを)見渡すと、真っ白だった富士の高い嶺に、さらに雪は降り積もっている

2 旅好きの宮廷歌人

作者の山部赤人(やまべのあかひと)は、柿本人麻呂と同様に生没年不詳で、三十六歌仙の一人でもあります。

奈良時代に活躍し、身分が低かったため、正史の記録がありません。

作られた歌の内容から、諸国を旅していたようです。

その彼が、田子の浦(今の静岡県の由比、蒲原あたり)にさしかかったところ、雄大な富士山の真っ白ないただきを目にして心うたれたのです。

お天気までは書かれていませんが、きっと良い天気で、富士山の山頂がくっきり見えていたのだと思います。

真っ青な空と、真っ白ないただき。

赤人の目に刺さるコントラストだったのでしょう。

3 二字決まり たご/ふじ

「た」で始まるうたで、「たご」はこのうただけです。

4 覚え方

ふじの たごさく

     

あしびきの/長々し 柿本人麻呂

1 通釈

あしびきの 山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜を独りかも寝む

→山鳥の長くたれ下がった尾のように長い長い夜を私もただ独りさびしく寝るのかなあ。

2 「和歌」と言えばこの人

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)は万葉第二期の宮廷歌人。出生、没年不明。謎多き和歌史上最大の歌い人と言われます。

人麿、人丸とも呼ばれていました。

和歌の名人の36人撰「三十六歌仙」のうちの一人です。

とにかく歌がたくさん残っており、有名人であったはずなのに、生没年不詳。

身分が低かったため、正史(次の時代の人が記した歴史書)に名前が書かれていないようです。

ヤマドリ

→日本固有のキジ科の鳥です。

昼は雌雄一緒にいるのに、夜は谷をへだてて一羽ずつ眠るという言い伝えがありました。

18枚ある尾の羽のうちの2枚が長く、それがしだり尾と言われました。

こちらの鳥も、魔物退治のときの必殺の武器に使われたりしている伝説をもつ鳥です。

人麻呂ならず、古来の人々はこの言い伝えに感化されていたようですね。

人の恋愛にその言い伝えを重ねて歌に当てはめたのです。

昼間二人で楽しく過ごしてあっという間の時間が、夜になると一人になり、すごく寂しく感じてしまう。この一人の時間は長いながい山鳥の尾のようです。

男性の気持ちで歌ったものか、女性の気持ちで歌ったものか、どちらなのかは不明ですが、

寂しいなあ!という想いは共通なのですよね。

3 三十六歌仙とはなんでしょう

藤原公任(ふじわらのきんとう)が選んだ和歌の名人36人をこのように言います。

そのメンバーは

柿本人麻呂、山部赤人、大伴家持、猿丸太夫、僧正遍照、在原業平、小野小町、藤原兼輔、紀貫之、凡河内躬恒、紀友則、壬生忠岑、伊勢、藤原興風、藤原敏行、源公忠、源宗于、素性法師、大中臣頼基、坂上是則、源重之、藤原朝忠、藤原敦忠、藤原元真、源信明、斎宮女御、藤原清正、藤原高光、小大君、中務、藤原仲文、清原元輔、大中臣能宣、源順、壬生忠見、平兼盛。

百人一首には上記の方々が多く撰歌されています。

4 2字決まり

あし/なが

「あ」で始まるうたのなかで、「あし」はこのうただけです。

5 覚え方

ながながしい あし

参考文献 三省堂 新明解古典シリーズ 百人一首/コーエーテクモゲームス 暗記しないでうまくなる百人一首(田口貴志)

春過ぎ/衣ほす 持統天皇

1 通釈

春過ぎて 夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山

→春が過ぎていつの間にか夏がやってきてしまったようだ。夏が来ると白い衣を干すという天の香具山に白い衣が干してあるよ。

2 女帝と呼ばれた皇女

持統天皇(645年~703年、第41代天皇)は天智天皇の娘で、藤原京を築いた女帝。

女帝というと、イギリスの女王のイメージが私の中ではものすごく強いですが、持統天皇も旦那様である天武天皇が亡くなって4年後に天皇に即位されています。

自分がなんとかしなくては!という頑張ってしまう感じ、国の母になろうとしていたんでしょうね。

天の香具山は、藤原京からも近い天から降りてきたと言われている神聖な山。

古事記に登場する神様がたくさんお祀りされています。

夏になると、衣更えで白い着物を洗い、緑の濃くなった香具山に干すコントラストが見事だったのでしょう。

国の母として奮闘していた持統天皇、ふと天の香具山をあおぎ見ると、その風景に目を奪われたのです。

父や夫の時代は争いが絶えなかったけれど、ようやくこの国は平和が訪れたようです。

58歳で亡くなるまで、持統天皇は万葉集を代表とする万葉の歌を盛り上げてひとつの時代を築きました。

3 3字決まり

「は」で始まるうたは4首。そのうち「春」がつくのは67番目の「春の~」周防内侍(すおうのないし)のうただけです。

4 覚え方

ころもほす はるすぎた

参考文献 三省堂 新明解古典シリーズ 百人一首

秋の田の/わが衣 天智天皇

1 通釈

秋の田の かりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露に濡れつつ

→直訳すると、秋の田んぼにある 刈り取った稲穂を見張る小屋にいると、

かやでふいた屋根が粗末で網目が荒いので、わたしの着物のそでは涙と夜露にずっと濡れ続けることであるよ

2 大化の改新の功労者!

時代は平安時代。中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)と呼ばれたころは、血気盛んで、藤原鎌足(ふじわらのかまたり)とともに曽我氏(そがし)を討って大化の改新をやり遂げた、天智天皇。

曽我氏からはうとまれた存在でしたが、多くの人々にとってはすごいことをやってのけたスーパーヒーローでした。

そんなヒーローだから、農民の気持ちにも寄り添うやさしいイメージがついていました。

それがこの歌です。

今でこそ稲刈りは重労働。当時はもちろんコンバインなどなかった時代。

農民は天候の予測もできないし、食べることさえままならないこともあったでしょう。

やっとの思いで稲を収穫し、それを天日に干して食べられるようになるのです。

その稲を見張る小屋が、穴だらけ。ああ、なんてことでしょう!

つらい気持ちで涙があふれて着物のそではしっとり濡れて、おまけに夜露が降ってきてびしょびしょです。

このつらさは天皇さまは知らないでしょうね。いやいや、知っていますとも。農民の味方でいますとも。そんな感じでしょうか。

3 三字決まり

競技かるたでは、この歌は三字決まりに分類されます。

上の句 秋のまで出てくると、下の句 わが衣がわかる、判断できるということです。

三字決まりは全部で37首あり、二字決まり42首に次ぐ多さです。

楽しく、風景を思い浮かべながら覚えていきたいですね。

「あ」で始まるうたは全部で17首。そのうち「秋」がつくのは79番目の秋風に~の左京大夫顕輔(さきょうのだいぶあきすけ)のうただけです。

4 覚え方 

つゆぬれ あきのた

間違いやすい札ナンバーワンなので、気を付けましょう!